スイートプリキュア 第46話
2015年6月13日に放送された、スイートプリキュア46話の感想です。
↓続きからどうぞ
※忠臣ファルセット
前回、ノイズの侵略で荒廃したメイジャーランド。そのノイズはプリキュア達に
追い詰められて瀕死の状態であったが、ファルセットの援護でメイジャーランドの山奥に
ワープして難を逃れた。そしてノイズをフライングノートで探していたファルセットは
山陰に隠れていたノイズを発見。プリキュア達も宮殿に避難した今、メイジャーランド
の連中を一網打尽で倒すチャンスが来たと具申するファルセット。一言命令を貰えれば
自分が出撃すると忠誠心の高さをノイズに魅せつける。だがノイズはその言葉に対し
一切何も喋らない。それを見てファルセットはノイズを心配し、どこが苦しいかだの
背中を擦りましょうだの言いながら、ノイズの周りをウロチョロと動きまわる。
そんなファルセットの言動を眺めながらノイズはポツリと呟いた「うるさい・・・」
前回の戦いでボロボロになったノイズ
※暴君ノイズ
その呟きが聞こえなかったファルセットは、しつこくノイズが何を言ったのか
繰り返し聞き出そうとする。だがズタボロの身体で疲労困憊のノイズにしてみれば
甲高いファルセットの声は非常に煩わしく、遂に怒り心頭に達したノイズは身体を
起こして大声で「うるさーい!」と叫んだ。更に忠実な最後の下僕であった彼にも
攻撃の手を向けたノイズ。当のファルセットは自分に何が起きているのか全く理解
出来ず、抵抗らしい抵抗もしないまま、哀れにもノイズの身体に吸収されてしまった
あれだけ忠義を尽くしたファルセットも、ノイズにしてみれば只の手駒でしか無く
前回ビートが心配した通りの悲惨な結果になってしまう。逆にファルセットを吸収
したノイズは途端に傷が見る見る癒え、あっという間に元気を取り戻すのであった。
傷が回復したノイズは肩慣らしに、近くにあった建物を粉微塵に吹き飛ばす。どうせ
なら音吉もクレッシェンドトーンも、吸収しておけば良かったと少し後悔したノイズ。それなら
プリキュアを吸収すればどうなるか、試してみるかと笑い、ノイズは宮殿に向けて飛び立つ。
あっけないファルセットの最期
※現状報告
その頃、宮殿では従者のオウムがこれまでの状況を説明していた。国民のほとんどは
音を消され、音吉さんとクレッシェンドトーンはノイズによって封印。更に国王メフィストの
意識も未だ戻らず正に崖っぷちの状況。オウムはアフロディテにそう報告しながらも
あまりの絶体絶命っぷりに自分がパニックを起こしてしまう。隣にいたアフロディテは
オウムをたしなめ、残った国民の避難について質問する。そう言われたオウムは
落ち着きを取り戻し、女王の指示通り宮殿の応接間に避難させましたと報告する。
それを聞いたアフロディテは少し溜息を漏らし、目線を前の方へ移動する。その先
には宮殿に集まっていたプリキュア達が・・ 4人は主を失い、その輝きを失って
しまったヒーリングチェストを、沈鬱な表情で取り囲みながら眺めていた。
意気消沈するプリキュア達
※受け継ぐ意志
クレッシェンドトーンの消えた箱を眺めるドドリー、同じく封印された音吉さんを
思い返すリズム。孫のミューズは祖父の件で胸が詰まりそうになったが、気持ちを
切り替えて真剣な表情に戻る。そしてビートは自分達の力不足を大いに悔やんだ。
落ち込む3人を見ていつも元気なハミィも思わず落胆・・ そんな悲観的な空気を
断ち切るがごとく、メロディだけはいきなり「ラン♪ラン♪ラン♪ラン♪」と1人陽気に
歌い始めた。そして歌い終わるとメロディはビートの方を向いて、音吉さんはいつも
ニコニコしていたと語りかける。そして今度はミューズとリズムの方を向いて
クレッシェンドトーンは元気の無い人がいれば色々な音を奏でて励ましてくれたと語る
だからこそ、その意思を受け継ぎ、自分達も元気にならなければと3人を奮起させた。
歌でみんなを励ますメロディ
※笑って笑って
その言葉を聞いたハミィは、我が意を得たりと言わんばかりの説得に激しく同意する。
「みんなで笑えば何とかなるニャ!」と大はしゃぎするハミィであったが、飛んできた
オウムからハミィは呑気すぎるとたしなめられてしまう。だがアフロディテはメロディと
ハミィの考えに賛同し、状況は確かに深刻だが、こんな時だからこそ笑顔を忘れず、皆で
力を合わせて頑張りましょうと激励した。その言葉に励まされたリズムは、音吉さんと
クレッシェンドトーンは自分達に未来を託してくれたのだから、それに応えなければと張り切る
そしてミューズもまだ終わっていないと笑顔を取り戻し、フェアリートーン達も
クレッシェンドトーン様の分まで頑張ると意気込んだ。更にビートは、前回の戦いで
ノイズはかなりのダメージを負っているので、大丈夫だろうと楽観的な気分になる。
辛い時こそ笑顔で
※別れ際の言葉
だが、そんな穏やかな空気を引き裂くように、宮殿の外から激しい爆発音が聞こえて
きた。突然の轟音に全員驚いたが、何かに気づいたアフロディテは空中に手をかざし
外の様子を眺めれる鏡を取り出した。するとそこには幸せのメロディを歌うために
作られた「コンサートホール」が炎上しているではないか。当然それはノイズの仕業で
あったが、あれ程傷を負っていたのに何故復活しているのか4人は全く理解出来ない。
するとノイズは壊れたコンサートホールに降り立ち、世界から全ての音を消し去るには
お前たち(プリキュア)を倒す必要があると呟き、4人に対して出てこいと大声で
喚き散らすノイズ。それを見たメロディはアフロディテに「行ってきます」と言葉を
残し、リズムとビートはメイジャーランドの人々と一緒に、この場に残ってほしいと
アフロディテに依頼する。 そしてその依頼をアフロディテが了承すると、次々と去って行く
プリキュア達。するとミューズの去り際に、アフロディテは「気をつけて」と娘に
声をかけると、ミューズはそちらも気をつけて欲しい、とお互いを思いやった。
なかなか会話する時間がないアフロディテとミューズ
※コンサートホールの戦い
アフロディテが戦いに赴く4人を真剣に眺めていると、足下で準備が出来たと張り切る
ハミィとフェアリートーン達。そしてコンサートホールに到着したメロディ達は
待ち構えていたノイズに「あなたの好きにはさせない!」と徹底抗戦の構えを見せる
ノイズはここがプリキュアのラストステージだと叫びながらいきなり飛び掛かって来た。
メロディはノイズから少し攻撃を喰らったが、怯むこと無く何度も攻撃を繰り返す。
リズムはノイズの大きな尻尾をなぎ払い、ビートはその尻尾の上を滑りながらノイズの
正面に現れ、そのまま見事なパンチを叩き込んだ。しかし‥ノイズは不敵な笑みを
浮かべ、ダメージには全くなっていないようだ。そこでビートは一旦その場から離れ
今度はミューズがホールの柱を、だるま落としの様にノイズに向けて蹴り飛ばす。
ノイズの尻尾やホールの柱などを利用して器用に戦う2人
※一進一退
その衝撃で辺り一面は粉塵に覆われたが、ノイズは口から邪悪なエネルギーを吐いて
これを吹き飛ばす。その間に4人は上空へとハイジャンプして、前回と同じように
息のあったキックをノイズにめがけて叩き込んだ。これには思わずノイズも飛ばされ
このまま倒れるかに思われた・・が、ノイズは何とか踏ん張ってこの攻撃を耐えた。
それならば、と今度はメロディとリズムは目を合わせ、2人は自分の専用武器である
ベルティエを取り出した。そしてベルティエを2本に分離させて、メロディはミラクル
ハートアルペジオを発射。リズムはファンタスティックピアチェーレをそれぞれノイズに向けて発射
する。更にビートはラブギターロッドでビートソニックを、ミューズはモジューレを使って
スパークリングシャワーを放ち、4人はあらん限りの大技を纏めてノイズに打ち込んだ
大技を次々と叩き込むプリキュア達
※音楽の意義を問う
技は全て命中し、鮮やかな光がコンサートホールを包み込む。これならノイズも
倒れるだろうと思った4人だったが‥目の前には全く無傷で羽を広げているノイズが
堂々と立っていた。「全然効いていないの?!」ミューズが思わずそう口にすると
ノイズは自信たっぷりに「あぁ‥全くな」と呟いた。そしてノイズは4人に対して
さぁどうすると挑発したが、メロディはどんなことがあろうが皆と音楽を守ってみせる
と主張。それを聞いたノイズは今更ながら、なぜ音楽を守るのかと疑問を投げかけた。
すると音楽は大事なものだからと声を荒らげ答えるリズム。しかしノイズはそれを
聞いて「音楽が幸せをもたらすと、本気で思っているのか?」と、4人の誰もが考えた
ことも無かった、ノイズならではの特殊な見解を述べてきた。
音楽そのものに疑問を持っていたノイズ
※表裏一体の世界
ノイズの持論としては、これまでの争いは「伝説の楽譜」に端を発したものであり
すなわち「音楽」が原因であると主張。更に音符に悪が宿れば、誰もが知っての通り
「不幸のメロディ」になるが、実はこの音符を少し並べ替えるだけで、みんなが望む
「幸せのメロディ」になるのだ。しかしその幸せのメロディも「悪い心」が宿って
しまえば、またもや不幸のメロディになってしまう・・・つまり両方のメロディは
状況次第でコロコロ変わるものであり、その度に幸せを感じたり不幸を感じたりする
ひどく曖昧なものであった。ノイズにしてみれば音楽があるからこそ諍いが絶えない
のであり、だからこそ音楽などというものは。最初から無い方が良いし、無意味な
ものだとノイズは声を荒らげ主張する。
不幸のメロディと幸福のメロディ、その違いは僅かでしかない。
※ノイズの理想郷
だが、そんな主張を聞いてメロディが納得する筈もなく、音楽が無い世界なんて
寂しすぎると訴える。しかしノイズは、誰にも何にも寂しさなど感じておらず
喜びや悲しみすらも感じてないと語り、どこまで冷徹で非情な言葉を口にする。
しかしノイズは、自分の中にある「苦しみ」の感情をどうにかして消すためには
やはり全ての音を消すしか無いと、その極端な持論を崩そうとしない。そして全ての
音を消して、静寂に包まれた 「なにも感じない平穏な世界」 それこそが
ノイズの求めていた究極の「理想の世界」であった・・・
ノイズが目指していたのは何の音も無い世界であった
※地獄の入口
しかしそんな世界を望むのはノイズ本人しかおらず、ビートもミューズもノイズの
世界観は間違っていると批判する。だがノイズは、嫌なら私の世界から去れ!と
身体を回転させ、その風圧でプリキュア達を壁に叩きつけた。そして立ち上がれない
メロディをノイズは眺め、どうやって自分が瀕死の状態から回復したのか知りたいか?
と聞いてきた。するとノイズは自分の胸元をドアのように開き「こうやったのだ!」と
言いながら、中にある邪悪なエネルギーをメロディに飛ばしてきた。メロディはそれが
何か分からず、気が付くと前回の音吉さんように身体を拘束されてしまう。そうこれは
ノイズが誰かを養分にする為の恐ろしい技であり、メロディは抵抗虚しくノイズに引き
寄せられる。それを見たリズムは今までにない悲愴な顔つきでメロディの名を叫んだ。
ノイズに吸い込まれるメロディ メロディの名を叫ぶリズム
※救いの手
しかし叫んでみてもメロディは逃がれられず、ジワジワとノイズの胸元に吸い寄せ
られる。このままでは、メロディが完全に吸収されて何もかもが終わってしまう‥
その時! 窮地のメロディに救いの手を差し出した人間が2人、突如として現れた。
それは・・なんと
ノイズが完全復活してから一度もその姿を見せなかったバリトンとバスドラだった。
2人はメロディが吸収されるギリギリの所で手を差し伸べ、もう片方の手でメロディに
取りついている邪悪なエネルギーをぶち破った。そのお陰でメロディは救出されたが
衝撃でその場に倒れてしまう。そして他の3人は急いでメロディの元へと駆け寄ってきた
助かったメロディに駆け寄る3人
※バスドラとバリトンの怒り
ここで話を少し前に戻そう。43話でメフィストの献身的行為により怪物の姿から
元の人間姿に戻れたバスドラとバリトン。それからアフロディテを擁護した罪で
2人はファルセットから激しい罰を受け、あわや一命を失いかけた。そしてそれを
見かねたメロディ達は、ハートのト音記号と引き換えに2人を救出して今に至る。
一応、まだ敵側である2人だが、今回も利敵行為をしたことにノイズも腹を立て
「どういうつもりだ」と2人に問い正す。するバスドラはこちらのセリフだ!と
憤った後、バリトンは少し前の惨劇をノイズに語りだす。それはノイズとファルセットを
探してメイジャーランドを歩きまわっていた2人は、偶然にもノイズがファルセットを
飲み込むという恐ろしい光景を目の当たりにして、激しいショックを受けていたのだ。
仲間であったファルセットを思い、ノイズに憤るバスドラとバリトン
※些細な理由
その事件を知らなかったメロディ達は、ファルセットが飲み込まれたという事実に
驚きを隠せない。そしてバスドラは、あいつは腹の立つ奴だったが真っ直ぐな性格でも
あったとファルセットを評価。しかしあれほどノイズの忠実な部下だった彼に、なぜ
あのような凶行に及んだのかと、バスドラは怒りながら問い詰める。 そしてバリトン
も「答えなさい!」とノイズに疑問をぶつけると、ノイズは次のようにポツリと呟いた。
「あいつはうるさかった・・」
それを聞いた2人は肩の力が抜け、たかがその程度の理由で飲み込まれたのかと落胆
してしまう。そしてノイズはファルセットについて、やかましい奴ではあったが
吸収したことで自分の傷が癒え、最後だけは役に立ったと血も涙もない言葉を吐く。
ノイズの酷い仕打ちに驚き、ファルセットの為に涙する2人。
※我々はトリオ・ザ・マイナー
あまりにも下らない、自分勝手な理由に2人は衝撃を受け、思わず目から止めどなく
涙が流れ出る。そしてノイズに近づきながら、ファルセットの気持ち・自分達の
気持ちを軽率に扱うその態度に、声を震わせてバストラとバリトンは憤慨した。
だがノイズは「騒がしいな‥」と呟き、怒る2人を吹き飛ばして壁に叩きつけた。
そしてノイズはもう1度自分が強くなる為、胸元を開いて邪悪なエネルギーをプリキュア達に
向ける。その勢いは素早く4人があっという間に飲み込まれそうになった‥その時!
なんと攻撃を受けて倒れていたはずのバスドラとバリトンが、身体を張ってノイズのエネルギーを
受け止めていた。ところがここでノイズは考えを変えて、2人を引きずりながら自分の
胸元へと近づける。そしてバスドラとバリトンは必死の形相で、吸い込まれながらも
プリキュア達に向けて、後は頼むぞと遺言にも似た言葉を残す。だがバスドラと
バリトンは、ファルセットと同じくノイズから無慈悲にも吸収されてしまった‥!
プリキュア達を守り、ノイズに吸収されてしまったバスドラとバリトン。
※究極体ノイズ
ノイズはバスドラとバリトンを吸収した後、驚くべきことにその身体は一旦
石の姿へと変化を始めた。もしかしてノイズも封印されたのでは‥と淡い期待が
漂ったが、石化したノイズの頭からヒビが入り、そこから今までよりも更に強い
邪悪なエネルギーが溢れだす。プリキュア達がその光景を食い入るように見続けて
いると、石のノイズから何かが出てきたのをメロディは見逃さなかった。そして
宮殿に居たハミィは大変な事が起きていると感じ、フェアリートーン達と一緒に
急いで戦いの場であるコンサートホールへと走りだす。石化したノイズの石が砕けると共に
大きな砂埃が辺り一面を覆ったが、遂にその中からパワーアップしたノイズが現れた。
その体格は以前よりも遥かに小さくなっていたが
それよりも衝撃的なのは、ノイズの姿がまるで人間のように変化した事であった・・
その身を人間のような姿に変えたノイズ
※残虐非道
新たなる進化を遂げたノイズは、身体が軽くなった分、些か声も軽くなっていた。
そして自分の新しい身体を馴染ませるよう動き周り、プリキュア達の前に降り立った
ノイズ。だが、その口から出たのは「無能な者共はこう(吸収)するに限るなぁ・・」
という、今まで以上に冷酷無比な言葉であった。その平然と仲間を裏切り、その上
自分の養分にしてしまう卑劣な行為にビートもミューズも怒りを隠せない。しかし
それでもノイズは「仲間などいらぬ、うるさいだけだ・・」と簡単に言ってのけた。
人の思いを踏みにじる行為を見て、怒り頂点に達したメロディ達は、絶対に許さないと
声を揃えて憤る。そしてメロディとリズムは互いのベルティエを半分ずつ交換して
クロスロッドに、ビートはラブギターロッドを少し移動して、ラブギターロッドにチェンジする。
無残な最期を遂げてしまったトリオ達を想い、ノイズを許さないと決めた4人。
※ダブルアタック
更にミューズはモジューレを逆さにして笛を吹き、シの音符のシャイニングメロディを発動。
そこから自分の幻影を作り出し、レーザーを反射させて五芒星がノイズを包み込む。
そしてメロディとリズムを手を繋ぎ、ミュージックロンド・スーパーカルテットを発射。
それに重ねるようにビートも、ハートフル・ビートロックを併せて発射する。後は
ミューズはシャイニングサークルでノイズの動きを封じようとするが、ノイズはこれを
簡単に叩き割る。その上、向かってきたスーパーカルテットを蹴りで掻き消し、最後に飛んで
来たビートロックも自ら捕まえて、そのまま力任せに切り裂いた。私には何度やっても
効かないとノイズは挑発するが、ここで4人は諦めるどころか、もう一度ノイズに
向かって、スーパーカルテット・ビートロック・スパークリングシャワーを一斉に浴びせるのであった。
繰り返して技を畳み掛けるプリキュア達
※圧倒的力量
油断していたノイズは再度、同じ技を直ぐに喰らうとは想定しておらず、プリキュア達の
攻撃をまともに喰らってしまう。そして4人が三拍子を取り、フィナーレを叫ぶと
爆発とともにノイズは聖なる光に包まれた。その光景はホールに近づいていたハミィも
確認でき、これでようやくノイズを浄化できた・・と安心したのも束の間。なんと
ノイズはこれだけの攻撃を喰らっても、その身体にはかすり傷ひとつも無かったのだ。
「最後に言うことはあるか?」
そう言いながら、ノイズは堂々たる態度でプリキュア達へ少しずつにじり寄る。
それに対し、ありったけの技をかき消されたプリキュア達にはもう為す術が無かった。
そして及び腰になってしまった4人を見て、ノイズは「フィナーレだ」と呟いた。
あれだけ技を打ち込んでもノイズには全く効かなかった‥
※終わりの時
ノイズは右手に高濃度の邪悪なエネルギーを練りあげ、それが限界に達すると一気に
大爆発を起こし、その爆風でプリキュア達はホールから地面に吹き飛ばされてしまう。
これでもう自分を邪魔する者は居なくなり、ノイズは1人不敵な笑みを浮かべた。
そしてノイズは、宮殿の方に向かってメイジャーランドに響き渡る大声を張り上げた。
アフロディテやその国民が、最後の希望と信じていたプリキュアが倒れたと自慢気に
喧伝するノイズ。それを宮殿の応接間で聞いていたメイジャーの人々は、皆一様に
落胆し、もうこれで終わりだと悲観的な空気が辺りを包む。しかしここで玉座に
座っていたアフロディテが応接間に現れ「皆、顔をあげなさい」と声を掛けた。
動揺する国民の前にアフロディテが現れた
※ We love music.(1)
その頃、飛ばされた4人を追っていたハミィは現場に到着し、倒れている4人に
怪我は無いかと心配する。4人はプリキュアから人間に戻ってしまったが、なんとか
意識はあるようだ。それを見たハミィは全員の無事を喜び一安心するのであった。
そして宮殿の近くまで移動してきたノイズ。しかし‥どういう訳か、宮殿の中からは
オーケストラが奏でる美しい音色が聞こえてきたではないか。それは意識を取り戻した
響達の耳にも届き、娘のアコはこれを「ママとみんなの演奏」であると気がついた。
アコの予想通り、宮殿の中ではアフロディテが指揮者となり、避難してきた人々や
楽器の妖精達が美しい音楽を奏でていた。しかし‥そこへノイズは堂々と乗り込み
演奏を続けるアフロディテや他の人々に向かって「何をしている」と問い詰めてきた。
応接間に侵入してきたノイズ
※ We love music.(2)
ノイズの登場にも人々はうろたえず、アフロディテの指揮を見ながらそれぞれの担当に
集中し、音を奏でていた。そしてアフロディテは、皆とこうして演奏するのは久しぶり
で、とても楽しく、私は幸せだと、演奏している人々に向けて呟いた。
質問を無視され、腹が立ったノイズは怒りながら邪悪なエネルギーを、人々に向けて
投げつけた。するとエネルギーに当たった人々は石化してしまったが、それでもなお
残った人々は恐れること無く、アフロディテの指揮に従い演奏を続けるのであった。
ノイズにしてみれば完全に追い詰められた連中が、なぜこうも最後まで怯えること
無く音楽を楽しむのか酷く理解に苦しむ。するとアフロディテはノイズの方を向いて
堂々とした態度で次のように言い表した。
どれだけノイズに脅されても人々は演奏を止めなかった
※この身が滅びようとも
「嬉しい時も、悲しい時も、苦しい時も、どんな時も‥私達は音楽を奏でてきました」
「ノイズ‥貴方がどんなに強くても、私達から音楽を愛する心は奪えません!」
アフロディテ、そしてメイジャーランドの人々が音楽を愛する心は本物であった。
決してノイズに追い詰められ現実逃避をして、自暴自棄に演奏をしている訳ではない。
むしろノイズの侵略に屈せず、最後まで音楽を愛する姿を魅せて彼らは戦い続けた。
これは自分に怯え、ひれ伏すと思っていたノイズにしてみれば大きな誤算であった。
自分の嫌いな音楽をひたすら演奏し続け、その顔は恐怖どころか喜びに溢れている。
その光景に激しく苛立ったノイズは大声で叫びながら最大級のエネルギーをぶちまけた。
あまりの腹立たしさに堪忍袋の緒が切れたノイズ
※最後の生存者
そのノイズの大きなエネルギーは、宮殿の全てに拡散し、飛び散った。
結果として彩り豊かだったメイジャーランドは、全土が枯れた色に覆われてしまう。
当然、この攻撃を誰も避けることは出来ず、病床にいた国王のメフィストはもちろん
最後まで音楽を愛し、演奏という形でノイズに抵抗を続けていたメイジャーランドの人々。
そして、最後の支えであった女王アフロディテも、全員その姿を石に変えてしまった。
これにより人間界も、メイジャーランドも、あらゆる音が消えてしまった。
そして残されたのは、響・奏・エレン・アコ・ハミィ・フェアリートーン達のみ・・
それを離れて見ていたアコは父と母の身を案じ、響と奏は人間界に続いて
メイジャーランドの人々も守れなかったことに、大きく失望し落胆する。
石化してしまった国王と女王、自分の無力を嘆く響、両親を想い涙するアコ・・
☆キラキラ輝く小さな星☆
あまりの絶望に酷く落ち込む4人。数々の困難を乗り越えてきた響達でも
ここまで窮地に追いやられてしまっては、もはや絶望に打ちひしがれる他なかった。
すると・・・ここでフェアリートーンのドリーが
「音は絶対に無くならないドド」と語りかけ、フェアリートーン達は4人の前に全員並んで
あの有名な音楽 「きらきら星」 を小さな音ではあるが奏で始めるのであった。
フェアリートーン達の身体を張った演奏に聞き入った響達は、こんな大ピンチな
状況でありながらも、自然と心が落ち着き、安らいでゆく。こんなに小さな音楽でも
自分達をこれだけ勇気づけられる力があるとは露知らず、今更ながら驚く4人であった
どんなに小さな音楽でも人を救う力がある
※私達の音楽
するとフェアリートーン達は演奏を中断し、次のように響達を説得する。
「ボク達だけだと、小さな音ドド」
「響達が一緒に演奏してくれたら、もっと大きな音になるレレ」
「響達が一緒なら、も~っと沢山音を出せるミミ」
「みーんなが一緒なら、いろんな音楽を演奏できるファファ~」
そして後ろに居たハミィも、白紙になった伝説の楽譜を取り出し、今は何の音符も
無い楽譜だが、逆に考えれば「どんな音楽でも作れる」楽譜だとポジティブな気持ちを
響達に伝えた。更に響達の作った新しい音楽が聞きたいニャ!とハミィが訴えると
元気を取り戻した響は胸に手を当て、自分達の鼓動(という音楽)はまだ生きて
いる事を実感した。生きている限り音楽があるのなら、ノイズに何度消されようとも
何度でも新しい音楽を作ればいい。奏は笑顔になりながら、その答えに気がついた。
エレンも音楽を作りたいという意欲が湧いてきて、いつかそれをメイジャーランドの
人々と演奏したいという夢が出来上がる。それを聞いたアコは、自分もその音楽を
思いっきり歌いたいと嬉しそうに語りかけた。
ハミィとフェアリートーン達のお陰で元気になった4人は立ち上がり、宮殿の方を向きながら
響は、私達の「ハーモニー」をノイズに聞かせてやろうと言い切った。そしてもう
何が起ころうとも、自分達は最後まで諦めないと、4人は声を張り上げ断言した。
背水の陣で最後の戦いに挑む響達
※あとがき
この回で何故ノイズが執拗に「音」を消そうとしているのか、その理由が明らかに
なりました。彼にしてみれば音楽は幸せをもたらすどころか、争いの種でしかないと
伝説の楽譜を例に出して語っています。我々が今まで全く違う歌だと思ってきた
「不幸のメロディ」と「幸福(しあわせ)のメロディ」ですが、よくよく聞いて
みれば似たような音楽なんですよね。ちなみに幸福のキーがCメジャーで、不幸の
キーがCマイナーとなっており、この設定の細かさがスイプリならではだと思います。
だからノイズにとってそんな曖昧な音楽なんて無い方がいい、尚且つ自分の中にある
「苦しみ」の感情を消すには、全ての音を消して「無音の世界」を作り上げれば
苦しみが消えて平穏になれるという考えなのです。しかしそれでも分からないのは
ノイズの音楽に対する激しい恨みと、全ての音を消し去った後はどうするのかという
疑問です。結局彼は何をしたいのでしょうか・・? もちろんこの疑問は次回明らかに
なるので楽しみにして下さい。さてこの回ではあれだけノイズに尽くしてきた忠臣の
ファルセットはノイズの怒りを買って簡単に吸収され、それを見ていたバスドラと
バリトンもノイズに反抗した後、同じような運命を辿ってしまいました。結局ノイズは
最初から誰も信用しておらず、全て自分を活かすだけの手駒としか思っていなかった
のです。流石にこの凶行は、敵同士の内紛とは言え、プリキュア達にとっても
甚だ不愉快な出来事であり、4人は激しい怒りをノイズにぶつけます。しかし究極の
進化を遂げたノイズにプリキュア達の攻撃は効かず、逆に強烈な反撃を喰らって
4人は倒れてしまいます。その間にもノイズは宮殿に居た人々を全て石の姿に変えて
これでもう世界に残る人間は響達だけになってしまいました。頼みの綱であった
音吉さんのパイプオルガンも、クレッシェンドトーンの力も無くなり、心の支えで
あったアフロディテやメフィスト、そしてメイジャーランドの人々も石に変えられて
しまったこの現実に絶望する4人・・ それからフェアリートーン達の励ましで4人
は元気を少し取り戻しましたが、強化されたノイズに抗う術は今の所ありません。
正に極限まで追い詰められたこの状況‥
響達に起死回生の策は生まれるのでしょうか?
それでは 47話で~ ノシ